イギリスで妊娠したので、NHS(イギリスの国民保健サービス)での妊娠から出産までの記録を残しておきたいと思います。
先日のカオスの分娩予定日(詳細は以下記事に書いています。)から1週間後に入院して誘発分娩(Induction)を行いました。今回は誘発分娩当日から出産までの流れについてレポートしたいと思います。
入院:誘発分娩〜分娩室移動まで
入院してから分娩室に移動するまでを以下に表にして記載したいと思います。
誘発分娩はTablets(錠剤)を6時間ごとに挿入されるスケジュールでした。
時間 | 内容 |
---|---|
DAY1 | |
18.00 | 入院 |
18.40 | CTG(meetしないとのことで再度後でやり直し) |
20.40 | CTG(met) |
22.40 | Midwifeが触診後ジェルを塗り、錠剤(誘発分娩用)挿入。 |
23.25 | Midwifeが触診でチェック。Cervix(子宮頸部)が柔らかくなってきている。赤ちゃんの頭にはまだ触れられないけど経過良好。 子宮頸部を触ったので今後生理痛のような痛み、ピンク・薄い茶色のおりものが出るかもしれないとのこと。 この後は消灯するので眠るように言われる。 |
DAY2 | |
4.30 | CTG お腹と腰の痛みあり →Contractions(陣痛)が結構頻繁だからと錠剤まだ入れないほうがいい、落ち着くまで待つ。 |
5.30 | 痛みに耐えられずパラセタモールをリクエストして服用。 |
7.00 | 朝食。 自分で取りに行くスタイルで夫に持ってきてもらう。 (食事は患者のみでパートナーの分は支給なし) |
8.00 | CTG |
9.30 | Contractions(陣痛)がそこまで頻繁ではないとのことで 再度錠剤(誘発分娩用)挿入。 頭に触れることができるようで赤ちゃんが下りてきており、もう錠剤は必要ないだろうとのこと。 Relax pelvis(骨盤)のために、散歩・階段をカニ歩きで降りる・バランスボールに乗る(ポンポンしたり乗りながら横に体を動かす)ように言われる。 |
10.00〜11.00 | 夫と病院内を少し散歩ついでに院内のレストランで夫が食事。 病室に戻ってバランスボールを少しやるが痛くて5分くらいですぐ諦める。笑 |
12.00 | 昼食 |
13.00 | 痛みが5分に一回くらいの間隔になる。 |
15.45 | 触診。 人口破膜できる状態になっているため、空きが出次第labour(分娩室)へ移動する。 排尿時に陣痛のような痛みがあったため助産師に確認するも問題ないとのこと。 膀胱を空にすることによって赤子の頭も下に降りようとするために起きる痛みだそう。 |
16.00〜17.00 | 夫とiPadでドラマを見る。 |
17.00 | 夕食が運ばれてくるも、labour(分娩室)に空きが出たから荷物を全部持って移動するように言われる。 |
付き添いの夫も無料で宿泊可能ですが、上記写真の左奥にある椅子で寝る感じになります。あまり眠れなかったようです。笑
NHSの食事はまずいと聞いたことがありますが、私は全然問題なく食べれました。特段美味しいわけでもありませんが(笑)、イギリス料理・イギリス人が好きなメニューが多かったのでそれなりに楽しめました。
分娩室に移動後
時間 | 内容 |
---|---|
17.15 | 分娩室に移動後荷物を整理した後にすぐにbreak waters(人口破膜)。 最初研修中の子が処置してうまくいかず痛かった。ベテランのMidwifeがやったらすぐに終わって羊水がたくさん出てきた。(下にペット用シーツのようなものを敷いて行った。) |
17.30 | 夕食。 CTGで定期的にモニターを行う。 |
18.00 | Contractions(陣痛)がある際に赤ちゃんの心拍が下がるとのことでずっとモニター。 |
陣痛が痛くてしんどかったのでGas and air(笑気ガス)と飲み薬(パラセタモール・イブプロフェン)をリクエスト。 笑気ガスは痛みが来た際に吸い込むと痛みが少し和らぐ気がする。(痛みが消えるというより気を紛らわせる感じ。) 一度吸い込みすぎて気を失いそうになり、Midwifeにマスクを外して大きく深呼吸するように言われる。 | |
19.00 | 痛みがしんどくなってきたのでエピデュアル(硬膜外麻酔)が欲しいとお願いする。 Anaesthetist(麻酔医)の空きが出次第対応可能だからと少し待つように言われる。 |
22.00〜23.00 | オキシトシン(陣痛促進剤)の点滴を始められるとのこと。オキシトシンを入れる前にエピデュアルが欲しいか?と言われお願いすることにする。 ※オキシトシンの点滴を開始すると陣痛が促進され痛みが増すようなのですが、その痛みに耐えられるかどうか待ってからエピデュアルを始める人もいるとのこと。私はこの段階でも結構痛くてしんどかったのでエピデュアルをお願いしました。 |
0時頃 | 麻酔医登場。背中が開いているプロンのような服に着替える。 海老のように前に丸まるように指示され、背中に麻酔薬に繋がったカテーテルを挿入。(挿入時は痛かったですが、痛みはすぐ消えました。)痛む際にはボタンを押すとtop up(追加で麻酔薬が背中に流れる)できるとのこと。 トイレにも行けなくなるからとのことで尿道カテーテルも入れられる。 ※ふと疑問に思い「大をしたくなったらどうするのか?」と聞いてみたのですが(笑)大をしたくなるケースはほとんどないそうで、万が一の場合は言ってもらえたら助産師さんが対応するとのことでした。結果、出産前に大をしたくなることはありませんでした。 最後にオキシトシンの点滴も入れて完了。 |
0時半頃 | 引き続き赤ちゃんの様子観察。少し状況が良くなったとのことで仮眠をとるように言われる。 |
1時ごろ | 助産師がCTGモニターに集まっていたため心配になり確認。 状況が改善したと思われたが、変わらずContractionsがある度に赤ちゃんの心拍が下がっているとのこと。 ドクターに来てもらうけどEmergency C-section(緊急帝王切開)になる可能性もあるかもと言われる。 |
1時半ごろ | ドクター登場。CTGをチェック。 状況が変わらずこれ以上待つ理由がないのでこれから緊急帝王切開を行うとのこと。 ここからバタバタと一気に医療スタッフの皆さんが準備開始。 C-sectionのリスク等を説明され同意書に署名を求められる。(体にメタルが入っていないか?矯正しているか?等確認されましたが、睡眠不足・心の準備ができておらずプチパニックだったのであまり何を言われたのか覚えていません。笑) ジュエリーを身につけているなら取るよう言われ、指輪を外そうとしたのですが浮腫んで外れず(笑)最終的に付けたままでもいいと言われました。 書類署名後はストレッチャーに乗せられ手術室に移動。 夫も私が署名している間に服を着替えさせられていました。 手術すると言われてから手術室に運ばれるまでは5-10分でした。 |
急展開で当時はパニクリまくりました。笑
めちゃくちゃ痛いのではないかと心配していた陣痛は、母が言っていた通り本当にひどい生理痛のような感じでした。最初は飲み薬で我慢できていましたが、後半、陣痛の間隔が狭まってきてからはめちゃくちゃ痛くて、痛みに弱い私はエピデュアルなしではsurviveできなかったと思います。
手術室に運ばれた後
1.35頃 | 強力な麻酔に取り返え?か追加。 |
1.55頃 | 冷却スプレーのようなものを肩やお腹にかけられ冷たさを感じるか確認される。 手術の恐怖で怯えて感覚がわからなくなる。もう一度かけてもらうようお願いする。 夫がおらず心配になりどこにいるのか聞いたタイミングで丁度良く服を着替えた夫が参上。 |
2.00頃 | 麻酔が効いていることを確認すると手術開始。(胸のとこでパーテーションで仕切ってあるため、何をされているかは全く見えない。) 痛みはなく引っ張られているような感覚がある。 |
2.10 | 赤子が産声をあげて誕生。 |
緊急帝王切開をするとアナウンスされてから赤ちゃんが産まれるまで、本当にあっという間で30分くらいでした。
元々「赤ちゃんの成長スピードが落ちた。サイズが小さい。」ということを心配しての誘発分娩でしたが、赤ちゃんは3000g弱あり健康に産まれてきました。(それでもイギリスでは小さめなようです。)なので、結果、本当にFetal medicineの誤診でした。笑
バースプランで夫が臍の緒カット・産まれたらすぐSkin to skin(赤ちゃんの肌と両親の肌の接触)を希望していましたが、緊急帝王切開のためかどちらも無しでした。ですが、赤ちゃんを少し綺麗にして帽子を被せた後に私の首元〜胸の上に乗せてもらい3人で一緒に写真を撮ってくれました。
手術室に移動する前に夫がスマホを持っていくように言われたようで、スタッフが夫の携帯で赤ちゃんが生まれる瞬間もバシャバシャ写真を撮っていました。
後で写真を確認すると私の切腹箇所(笑)も少し写っていてちょっとグロかったですが、貴重な瞬間を写真に収めてもらえました。
赤ちゃんと写真を撮った後は、赤ちゃんがビタミンKの注射をするためにどこかに運ばれ、その間に切開した部分を縫合(出産よりもこちらに時間がかかっていました。)。
出血量も正常で問題ありません。
陣痛時に赤ちゃんの心拍が落ちていたのは首に臍の緒が絡まっていたからです。
ということで結果帝王切開をして正解だったようです。
手術室を出て
日本だと出産後はしばらく?赤ちゃんと同室で過ごさないようですが、イギリスは出産後からすぐに赤ちゃんと同室で24時間過ごします。
オペ室から出た所にある大部屋で私はObservation(検査)を行い、その間はずっと夫が赤子を抱いていました。血圧やら色々と検査をしました。
私自身疲労以外は元気で全く問題なかったのですが、熱があり血圧が高いとのことでしばらくObservation。一時血圧は170かそれ以上あったようです。
1時間くらい様子見でしたが、全く改善しないとのことでお医者さん登場。
血圧がすごく高いんだけど、視界がぼやけていない?フラフラしない?ちゃんと話せますか?
眠たい以外は全く問題ないと伝えると医師も不思議な様子でした。笑 とりあえず飲み薬を飲むようにと言われ後で運ばれてきた薬を1錠飲みました。
そこから1時間くらいしたらやっと落ち着いてきたようで解放され別室に移動しました。
ここで待たされている間赤ちゃんはお腹が空いているだろうと思い、授乳のやり方をMidwifeに聞いて初めて授乳をしました。
当時は右も左もわからなかったので、Midwifeが乱暴に赤ちゃんの首を掴んで胸の方に持ってくるのでびっくりしました。笑
まとめ
以上がイギリスでの誘発分娩当日〜出産までのレポートでした。
赤ちゃんのサイズの誤診はあったものの、妊娠から出産(出産後)までスタッフの方は本当にみんな親切で快適に過ごすことができました。
私のような無知な人間を見下すことなく、バカみたいな質問にも親身になって相談に乗ってくれました。外国人だからと差別・区別なんていうのも全くありませんでした。
イギリスのカスタマーサービスはひどいと文句ばっか言っている私なのですが(笑)、NHSの妊婦・出産関連のケア、スタッフの対応は本当に素晴らしいと思います。
異国での出産に色々と不安はありましたが、結果、イギリスで出産してよかったなと思いました。
病室に移ってからの様子はまた別の記事で書きたいと思います。
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